第10回 「演奏旅行記」

先日、高校時代からの古い友人と一緒に広島県の呉市蘭島閣美術館でギャラリーコンサートを行った。
広島空港から車で約70分の距離にある島の中に演奏会場である蘭島閣美術館がある。
心配されていた雪も降ること無く、車窓から見る景色はとても美しかった。何より空気が綺麗だ。

建物全体が檜で出来た美しく立派なこの美術館は、第1回目に岩崎淑、洸先生がギャラリーコンサートを開催して以来、実に19年間に渡って何と月に一度必ず定期コンサートを開催しているという。(不況が続く今のご時世に、これは本当に凄いことである!)

その歴史ある定期演奏会の第37回目に私が出演した。ヴァイオリニストで作曲活動も活発に行っている古い友人・権龍模(こん たつのり)氏を誘ってソロとデュオでプログラムを構成したのだが、暖かく質の高い聴衆にも支えられ大変充実した楽しいコンサートになった。
大きなコンサートホールでの演奏会とはまた違った、お客さんとの距離がとても近く暖かな空気の中での演奏は、私にとっても非常に貴重な機会であったし、幸せでもあった。

演奏会前に文化財団の理事長さんや館長さんとお話したが、彼らの文化や芸術を大切にする情熱に正直感激したし、また嬉しくもあった。
「子供達に、幼い頃から音楽や文学、絵画に出来るだけ触れさしてあげたい。その為に厳しい財政の中一生懸命に毎月続けているのだ。」と熱く語っておられた理事長さんの言葉は今も強く印象に残っている。
どこかの都知事さんにこの言葉を聞かせてあげたい、と思いながらこの情熱に溢れた言葉を聞いた。

是非これからもこの素晴らしい企画を続けて行って欲しいと心から願っているし、またこのギャラリーコンサートで演奏出来る日を、暖かい広島のお客さんに演奏を聴いて貰える日を今から心待ちにしている。


秋

ギャラリーコンサートが行われた呉市蘭島閣美術館。建物全体が檜で出来ていて実際に見ると感動的に美しい。